東京オリンピック期間中に実施される『ホテルシップ』について(横浜港・東京港ほか)
2020年東京オリンピックの期間中に、観光客等の増加による一時的な宿泊施設の不足に対応するため、東京湾周辺の港において複数の『ホテルシップ』の実施が予定されています。
新型コロナウイルスの影響で東京オリンピックは1年延期されることが決定しました。こちらでご紹介しているホテルシップの計画も一旦白紙になるものと思われます。2021年の実施については、状況が分かり次第ご紹介しようと思います。
実施予定となっているホテルシップについての情報をお届けします。
横浜港でのホテルシップ(サン・プリンセス)について
横浜港では、プリンセスクルーズの客船『サン・プリンセス』によるホテルシップが実現します!
横浜市の2018年6月25日のプレスリリースに記載のとおり、JTBが横浜市と連携してホテルシップを実現することが決定しました。プリンセスクルーズからも同様のプレスリリースが出ています。
ホテルシップとは、クルーズ船を港に停泊させたままホテル代わりにして活用するものです。
今回の横浜港のホテルシップでは、サン・プリンセスが『山下ふ頭』に停泊します。山下ふ頭は山下公園に隣接しており、みなとみらい21地区や中華街などの横浜を代表する観光地にもすぐアクセスできます。
山下ふ頭については、『横浜港(大さん橋・新港・大黒・本牧・山下ふ頭)】今後のクルーズ船受入や開発計画をまとめました!』の記事でも少しご紹介しているとおり、長期的に再開発の計画が検討されています。
ホテルシップの宿泊可能な期間は、2020年7月23日(木)~8月9日(日)の18泊です。
東京オリンピックのスケジュールは開会式が2020年7月24日(金)、閉会式が8月9日(日)ですので開会式の前日から閉会式当日までが対象期間ということになります。
2019年2月13日時点では発売は開始されておらず、以下の情報が載っていました。
- 発売日は2019年春以降を予定
- 2泊3日を1つのパッケージとして発売する予定
- 料金目安は、2泊で7万円台(内側)~60万円台(スイート)※1室を2名で利用する場合の1人あたりの金額
ホテルシップの詳細について(2019年6月15日更新)
横浜港でのサン・プリンセスのホテルシップについて、『東京2020オリンピック観戦チケット付ホテルシップ宿泊プラン』として詳細が発表になり、2019年6月15日からエントリーが始まっています!エントリー期間は、6月15日(土)~7月15日(月・祝)です。
いずれも2泊3日の設定で、オリンピックの観戦チケットが1人につき1枚付いた宿泊プランになっているようです!キャビンや観戦競技の詳細ごとの金額も発表になっていますが、高額なプランだとキャビンが『スイート』の『水泳(競泳)』の決勝を含んだ観戦チケット付きのもので、なんと73万円(おとな1人あたり(2名1室利用))となっています。
この『サン・プリンセス』は、2019年4月から7月にかけては世界20カ国、31寄港地を巡る世界一周クルーズが予定されています。
■サン・プリンセス客船情報
総トン数 | 77,441トン |
全長/幅 | 261メートル/32メートル |
客室数 | 1,011室 |
乗客定員 | 2,000名 |
乗組員数 | 924名 |
クルーズ船に泊まることの魅力
大型クルーズ船はまるでホテルのように様々な設備が整っています!特にサン・プリンセスは『プレミアムクラス』の客船ですので、内装もとても豪華で、優雅な気分が味わえると思います。
豊富な種類のレストランがあり、食事の時間も楽しめます。また、本格的なショーや体験型の船内プログラムもあります。しばらく滞在しても飽きることはないでしょう!
また、代金については通常の航海時と同様で、食事代(一部の有料レストランを除く)やショー観覧代等は代金に含まれています。
アルコール、清涼飲料水等の飲料代やエステ、サロン等の有料施設の利用代金等は別途支払う必要があります。
船内にはカジノがありますが、クルーズ船のカジノは公海上でしか営業しませんので、残念ながら港に停泊したままのホテルシップにおいてはカジノは利用できません。また、ショッピングの免税も適用されません。
ホテルシップ実現の背景
横浜市からの2018年5月17日記者発表資料『 ホテルシップ実現に向けた取組が加速』のとおり、2020年東京オリンピックの期間に向けてホテルシップ実現の検討が本格化されていました。
オリンピック開催期間中は、海外からの観光客が多く訪れますので開催地周辺のホテル等の宿泊施設が足りなくなることが想定されます。
一時的な宿泊施設の需要の高まりに対応するため、過去のオリンピックでもホテルシップが多く活用されているようです。
サンプリンセスは、客室数が約1,000室、乗客定員2,000人程のキャパシティがある大型客船です。
東京周辺で客室数が同等の規模のホテルを調べると、
・東京ドームホテル 客室数:1,006室
・帝国ホテル東京 客室数:931室
あたりです。客室数1,000室となると、かなり有名どころで規模の大きいホテルの客室数に相当します。
オリンピックによる一時的な需要のために新たなホテルを建築するより、このように大型クルーズ船をホテルシップとして利用する方が合理的ですね!2018年5月16日に厚生労働省から旅館業法の規制緩和の通知が出たことを受け、検討が急速に進んだようです。
クルーズ船というと部屋から海を眺めることができる『海側のキャビン(客室)』を想像することが多いかと思いますが、比較的価格帯が低めの『内側のキャビン』も一定数あることが一般的です。内側のキャビンは、外に接していませんので通常は窓がありません。
ホテル等の宿泊施設は基本的には客室に窓がないと営業許可がおりないみたいなのですが、特別に『窓のない客室があるクルーズ船』についても各自治体の判断で営業許可を与えてよいとする通知のようです。
これはあくまでオリンピック開催期間中の特例ということですので、今後日常的にホテルシップが実施されるわけでははなさそうです。
東京港でもホテルシップ実施が決定!
国土交通省ホームページに2018年3月のホテルシップ活用の検討中の資料がありますが、この当時の資料によると横浜港以外にも『東京港』、『川崎港』、『木更津港』でホテルシップの活用の可能性があるようです。
東京港でのホテルシップについては、2019年4月27日に東京都が協議対象者としてMSCクルーズの客船『MSCリリカ』に決定したと発表されていました。
総トン数 | 65,591トン |
全長/幅 | 274メートル/32メートル |
客室数 | 992室 |
乗客定員 | 1,984名 |
乗務員数 | 約721名 |
その後、2019年7月30日の東京都からの報道発表資料『東京国際クルーズターミナルにおける短期ホテルシップの実施について』で、コスタクルーズのクルーズ船『コスタベネチア』によるホテルシップが実施されることが発表になりました。
あわせて、上記のとおり決定したMSCクルーズから辞退の申し出があったとのことで、MSCリリカによるホテルシップは実施されないことが発表になっています。
東京港のホテルシップ(コスタベネチア)の詳細
コスタベネチアによるホテルシップの詳細は下記の通りです。実施期間はやや短期間のものとなっています。
実施場所:東京国際クルーズターミナル(江東区青海二丁目地先)
実施期間:2020年7月24日から7月29日まで
■コスタベネチア基本情報
総トン数:135,500総トン
全長:323.6メートル
乗客定員:5,260人
客室数:2,116室
就航:2019年2月
川崎港でのホテルシップ実施について
川崎港については、2018年12月に川崎市が条件を公表しており、協議中が進められていました。
詳細については正式発表を待つしかないですが、気になるクルーズ船の規模ついて、『7万トン級(総トン数)を上限とする』と記載があります。
そして、2019年3月に川崎市は報道発表資料で詳細を発表し、ゲンティン香港の『エクスプローラードリーム』によるホテルシップが実施される予定となっていました。
しかしその後、2019年11月22日に川崎市の報道発表資料『ホテルシップ協議対象者との協議結果について』のとおり、協定の締結には至らなかった旨が発表になっています。川崎市としては短期間のホテルシップ等の実施を見据え、引き続き検討は進めていくようです。
まとめ
2020年東京オリンピックの時期に合わせて、東京湾周辺で複数のホテルシップの実施が予定されています!
横浜港では、プリンセスクルーズの客船『サン・プリンセス』
東京港では、コスタクルーズの客船『コスタベネチア』
によるホテルシップ実施が決定しています。
ホテルシップは東京オリンピック期間中だけ実施が予定されているとても貴重な機会です。様々なクルーズ船が東京湾周辺を訪れることになりますので、オリンピックと合わせて、とても楽しみですね!