【敬老パス】現行制度の概要と今後のあり方についての横浜市の検討について
敬老パスは、バスや電車などの公共交通機関に自由に乗車できる乗車証で、多くの自治体で高齢者を対象に交付されています。
横浜市では、横浜市内に住んでいる70歳以上の方を対象に敬老パスを交付しています。横浜市公式サイトのこちらのページに敬老パスについての情報が掲載されています。
敬老パスとは?
横浜市が発行する敬老パスは、横浜市内の対象交通機関に自由に乗車できる乗車証です。正式名称は『敬老特別乗車証』といいます。
高齢者の方々が豊かで充実した生活を送ることができるよう支援のひとつとして横浜市が発行しています。対象者は横浜市内にお住いの70歳以上の希望者です。
なお、有効期間は10月1日から翌年9月30日までの1年間で、利用者は収入状況に応じた負担金額を支払う必要があります。
対象交通機関(バス、電車)について
横浜市の敬老パスの対象交通機関について、こちらの案内に記載されているのは
- 路線バス
- 横浜市営地下鉄
- 金沢シーサイドライン
です。
横浜市営地下鉄(ブルーライン、グリーンライン)の全線と金沢シーサイドラインに加え、横浜市内を走る路線バスが利用できます。
公式サイトで確認すると、路線バスというのは、横浜市営バスと民営バス路線(江ノ電バス、神奈川中央交通、京浜急行バス、相鉄バス、大新東バス、東急バス、横浜交通開発、小田急バス、フジエクスプレス、川崎鶴見臨港バス)や川崎市営バスの一部区間が利用できるようです。
負担金額について
敬老パスの利用者は、所得に応じた負担金を支払う必要があります。
2019年度時点では、以下の金額を負担することとなっています。
- 障害者等:無料
- 生活保護を受給している方、同一世帯全員が市民税非課税の方:3,200円
- 本人非課税者で世帯員に課税者がいる方:4,000円
- 市民税課税で合計所得金額が150万円未満の方:7,000円
- 市民税課税で合計所得金額が150万円以上250万円未満の方:8,000円
- 市民税課税で合計所得金額が250万円以上500万円未満の方:9,000円
- 市民税課税で合計所得金額が500万円以上700万円未満の方:10,000円
- 市民税課税で合計所得金額が700万円以上の方:20,500円
なお、下でご紹介する敬老パス制度のあり方に関する検討専門分化会の資料によると、交付者の負担区分別の割合について、市民税非課税区分以下(負担金額年間4,000円以下)が64.4%を占めているそうです。
負担金額の平均は年額4,894円、月額にすると408円となっています。
今後の敬老パス制度のあり方の検討について
敬老パス制度については、こちらの横浜市のサイトにあるとおり、今後の制度のあり方について検討が進められています。
敬老パスは、高齢化の進行に伴って利用者が年々増加しています。『日本一の規模を誇る横浜市の人口統計から気になるデータをご紹介します!』でご紹介しているとおり、横浜市の人口自体は2019年以降減少に転じていく見込みとなっていますが、敬老パスの交付者数は引き続き増加が続いていくと推測されています。
制度が始まった1974年と比較すると、2018年時点で利用者数は約6倍になっています。
バスの利用回数も想定より多くなっており、交通事業者や横浜市の負担が大きい状態が続いているようです。
今後もさらなる事業費の増加が見込まれることなどから、将来にわたり持続可能な制度となるよう、見直しが必要な状況のようです。
今後の制度の見直しはどうなる?負担金額は変更されるのか?
今後の敬老パス制度のあり方についての検討にあたり、敬老パスについての利用者アンケートだけでなく市民アンケート(20歳以上の人が対象)も実施されているようです。
アンケートの質問項目を眺めると、以下のような変更が選択肢として検討されているように思われます。
- 市税負担を増やすor減らすべきかどうか?
- 対象年齢を引き上げるか?引き下げるか?
- 乗車回数に応じて支払う方法(応益負担)に変えるか?
- 所得制限を設ける(一定以上の所得がある人は制度の対象外とする)か?
- 対象の交通機関の範囲を変える(バスのみ対象or電車のみ対象とする)か?
まとめ
横浜市の敬老パス制度について、現行制度の概要と今後に向けた制度見直し関する検討事項をご紹介しました。
敬老パスの事業に必要な経費は利用者、各交通事業者、横浜市(市民からの税金)の3者の負担で賄われています。制度の見直しにあたっては重要な論点として横浜市の市税負担をどうするかという点もありますので、敬老パスの対象者だけでなく、その他の市民にとっても意識した方がよい話かと思います。